Lingerie~after story~



なんか適当に甘いものもあればいいな。なんて、特別何も身構えずに入り込んだその場所だ。

視界に捉えた姿には一瞬持ち合わせていた思考が全て飛んで不動になるも、どうやらそれは向こう様も同様らしい。

いや、焦りの具合は向こうの方がやや上じゃなかろうか?

ってか…

「寧々か、」

「……盗み食いですか?お爺様」

口の横に粉付けて…。

台所に踏み込んでみせれば先客とばかりに豆大福を頬張っている祖父の姿があり、私の気配に一瞬は驚愕に染まるもすぐに安堵したように息を吐く。

多分紗々ちゃんが煩いんだろうな。

でも、こんなどこか抜けたお爺様はなんか新鮮だ。

今も何となく気まずい醜態を誤魔化したいのに、どう誤魔化していいか分からず必死に平静を装うとしているところが可愛らしいと言うのか。

思わずクスリと笑ってしまえば、チラリと非難するような眼差しが私を捕らえる。

でも、だって……恐くないですよ?

「フフ、紗々ちゃんに見つかったら大変なんじゃないですか?」

「……あいつは最近口煩い。大福一つ食べるにも神経を張りつめねばいけんとは…」

「フフフッ、では鬼の居ぬ間に私も共犯という事で」

そう言って戸棚にしまってあった大福を一つ手に取ると、行儀悪くもその場で齧る。

だって、共犯ですもの。

こんな粗相しようと怒れませんよね?

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