Lingerie~after story~
当然飛んでくる叱責もなく、チラリと垣間見た姿は同じように大福を再び口に運んでいる。
そんな姿に、『ああ、』と思い立つと2人分の茶器を出して冷たい麦茶を用意し差し出した。
「喉につかえるといけませんから」
「うむ、」
特別、和気あいあいと会話をするでもない。
静かに大福を貪り、茶を飲み交わすだけの時間。
変なの。
お爺様と2人きりのこういう時間はもれなく緊張が張りつめるものだと思っていたのに。
こんな風に……さらりと過ごせる事も出来たのか。
今更ながらそんな発見にしみじみと浸りながら麦茶で甘さを流し込んだ刹那だ。
「……紗々を恨むなよ」
「……えっ?」
不意に響いた祖父の一言にはすぐには理解が追い付かずに間の抜けた表情で見つめてしまった。
それでもそこまで理解力が無いわけじゃなく、今回の件での横暴さにという付属が頭に浮かぶ。
「紗々は、水守の為に意思も言動も選んでいる。姉としての言動行動じゃない」
「…分かってますよ。紗々ちゃんはそうするべきで、水守の当主として正しい事をしていると私だって思ってます」
「……」
「勿論、それはお爺様にだって思って来たこと。……私、確かにお爺様が恐かった、でも、嫌いだとか恨んだことはないんですよ?だって、嫌いな人に認められようなんて努力するタイプじゃないんです私」
いっそ嫌いなら楽であるのに。
そう思う程に、確かに愛情が存在した。