Lingerie~after story~
「本当に嫌な人格者であるなら紗々ちゃんが懐くはずもないし、私だって確かに受けた優しい思い出は記憶してます」
「………」
「水守の名を名乗るには不出来な孫であったかもしれないですが……、私は…お爺様が好きですよ。……フフッ、相変わらず…その強面には緊張しますけど」
でも、その顔が時折柔和になる事だって知っている。
何も紗々ちゃんだけに向けられていたわけではない。
初めて私が花を活けた時、決して上出来とは言えないのに幼い私を褒めて笑ってくれた。
熱を出し不安で泣いた夜には傍に寄り添ってくれていた時間だってある。
厳格な記憶が大かもしれないけれど、小さくも確かに記憶されているそんな柔らかな思い出。
嫌いになれるはずがない。
そして、きっと、この時間さえも良いものとして記憶される。
「……さて、そろそろお部屋に戻らないと、本当に紗々ちゃんに怒られますねお互いに」
時間も程よくなのだ。
そろそろ身支度終えて車に乗り込み戦場と言える舞台に身を移さねば。
腹ごなしもした。
自分の心も決まっている。
あとはその瞬間を迎え撃って戦うのみだ。
そうしたら……何が何でも振り切って走って……九条くんに会いたいな。
抱きしめられたい。