Lingerie~after story~
それが私の返答の様に、余計な言葉は不要だと言わんばかりに無言でベッドから降りた彼は無表情で前髪を下ろしながら背を向けてしまう。
待って、えっ?だって……本気で?
そんな戸惑いに満ちるのに中途半端に開いたままの口からは音を響かせる事は出来ず。
無情にも彼の姿が部屋の入り口まで移動した頃合い、
「あんた本気で帰る気?」
私の心を代弁してくれているようなイズミの声音は本当に私の助け舟だと思ってしまう。
それでもそんな差し出された甘えに心から安堵するなんて事は出来ず、問われた彼がどう返すのかとジッとその姿を見つめて答えを待つと。
「帰るよ。俺の家じゃないしね、ここ」
躊躇いもなく振り返った姿は前髪で目元が覆われているけれど無表情だと分かる姿。
さらりと情もなく弾かれた一言には何故か気が遠くなりそうになる。
確かに……確かにだ。
ここは本来彼の家じゃない。
関係もリセットされた今最初の契約の様な条件に彼がつきあう必要はないとも思うけれどだ。
本当に……帰るの?
そんな引き止める様な問いかけも出来ぬ私はどこまで素直じゃなく愚か者なのか。
そして、彼もまたどこまでも自分に素直に甘さを断ち切る。