Lingerie~after story~
疼いている憤りの名残を押し込めたらしい表情は綺麗な真顔にとスッと戻った。
今まで立ちっぱなしであったその身を静かに動かし、私と対面する場に流麗な所作で座ると視線を上げる。
そうして対峙した双眸は今日も綺麗なオッドアイだと感じた。
そんな刹那、
「水守 寧々さん」
「…………はい、」
「是非、この徳嶺の家に輿入れしていただきたく、……私と結婚していただけないでしょうか?」
「…………」
綺麗で、育ちの良さを感じる口調やお辞儀。
うん、少しね、徳嶺さんの纏う空気に似ているよ。
きっと小さい頃から礼儀作法とか教え込まれたんだろうね。
気が付けば徳嶺さんも彼の隣に身を置き、後は終幕への流れを見守るばかりと傍観者に徹し始めたらしい。
紗々ちゃんも大仕事を終えたとばかりに微笑んで顛末を見届けようとしていて。
つまり、今この場を進めるのは私の次なる一言ばかりで、『はい』と一言返せば、
「大変申し訳ございません」
「………はっ?」
「この縁談、謹んでお断りさせていただきます」
「っ……!?」
はっきりと響かせた私の一言はこの場にいるすべての人の大番狂わせであっただろうか?
勝ちを確信していた紗々ちゃんや徳嶺さん、目の前の彼さえも驚愕に満ちた空間は一瞬にして様々な感情で混沌とした気がする。