愛人契約
エレベーターの扉が開かれ、私達は6階に降りた。

「店は、そこの角だよ。」

「はい。」

すると本田さんは、腕を差し出してくれた。

「あの……」

「ただのエスコートだよ。」

「は、はい。」

私は、本田さんの腕に、そっと手を置いた。


ただの……エスコート。

そんな事を知らない私に、この人の相手なんて、勤まるのかしら。


「ほら、ここだ。」

「うわぁ……」

カフェテリアのような、開放感のあるお店。

まるで、ほんのお茶を飲むくらいの。

「もう少し歩くと、バーもあるんだが、君はこっちの方がいいだろ?」

「はい。」

本田さんは、返事をした私を見て、クスッと微笑んだ。

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