愛人契約
「じゃあ、1000円。残りは僕が払う。」

「は、はい。」

私は急いで、1000円札を出した。

そんな割り勘の仕方、初めてだったから、ちょっと気が抜けた。


「本当は、いくらだったんですか?」

お店を出た後、エレベーターの中で、何気に聞いた。

「5000円。」

「えっ!?」

「嘘。3000円。」

「なーんだ。」

1本5000円もするようなワイン、昼間から頼む人がいるだなんて、びっくりした。

と言っても、1本3000円でも結構、いいワインだと思うけれど。


そしてエレベーターを降りて、私達はホテルの出口へ向かった。

「今日は本当に、すみませんでした。」

「いや、気にしなくていい。」
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