イケメン部 〜第3巻〜
「……一樹…」
目の前に立っている男の姿に気付き、ボソリと呟いた。
「…久しぶりだね、永利」
…え?
いつ…き……
その名前には澪和も聞き覚えがあった。
伝統部に入った時。
御影に澪和のロッカーを紹介してもらった時。
『一樹さん』
この人はーーー
「……佐々木先輩の…」
何故だろうか、足が震える。
それを見ていた一樹さんは、ニヤリと悪戯っぽく微笑むと、
「……やっと見つけた、俺のフィアンセ♡」
「……っ!?!?!?」
耳許で囁いた。
この人が私の婚約者ーーー!?
澪和の脳内は完全に混乱したままだった。
そして、プツンと糸が切れたようにして倒れ込んでしまう。