イケメン部 〜第3巻〜
「…海空!!!」
西条が必死に名前を呼ぶ声も聞こえない。
記憶がないまま暫く澪和は目を閉じていた。
「…にしても一樹が婚約者だとはねぇ」
「いや、何かの間違いだろう」
「おい、違うって言えよ!おい!」
「西条くん、落ち着いて…」
澪和が意識を失っている間の保健室。
伝統部2年の部員達は一樹を取り囲むようにして話をしていた。
当の一樹はまた悪戯な笑みを浮かべる。
「ニヤニヤしてんじゃねぇぞ、テメェ」
ガンッと思い切りパイプ椅子を蹴る西条。
「海空さんが起きちゃいますって!」
小声で必死に止める桐神。