花と蝶
誠仁君、名前は珝。承恩尚宮劉氏の子どもであり、庶長子である。
生母劉氏が内人であったころ欣宗に見初められて産んだ。
その日、中宮殿は遅くまで灯がついていた。韓妃は深い思案の世界に耽っていた。子どもは嫌いではないが、劉尚宮の子どもである誠仁君だけが憎く感じてしまう。しかし、懐妊を諦めた以上、嫡子以外の誰かが世子にならないといけない。傲慢な僖嬪、大人しい淑嬪、寵愛を受ける正嬪…そして劉尚宮。その中で御子を成しているのは淑嬪と劉尚宮だけである。
長子を産んでいるのは劉尚宮だ。領議政はなるべく長子が良いと言った。
何故なら、冊封の際にいちゃもんをつけられずに済むからである。
東瀛のこの国には宗主国があり、なんでもそこに伺いをたてねばならなかった。
いくら、正一品の内命婦の王子だろうと次子は認められないだろう。
「私情よりも国を考えなくては…意地をはるだけ無駄ね。憎くても育てるわよ!李尚宮!」
外で控えていた李尚宮が部屋に入ってきた。
「御用でしょうか?」
「劉尚宮を淑儀に命じるわ!」
「従四品の淑媛で宜しいのでわ?」
「だめよ。高い位じゃなきゃ…それにこなたに対する恨みは淑媛では晴れないわ」
「か、畏まりました」
夜中に出した教旨は翌朝、劉尚宮の元に届いた。
生母劉氏が内人であったころ欣宗に見初められて産んだ。
その日、中宮殿は遅くまで灯がついていた。韓妃は深い思案の世界に耽っていた。子どもは嫌いではないが、劉尚宮の子どもである誠仁君だけが憎く感じてしまう。しかし、懐妊を諦めた以上、嫡子以外の誰かが世子にならないといけない。傲慢な僖嬪、大人しい淑嬪、寵愛を受ける正嬪…そして劉尚宮。その中で御子を成しているのは淑嬪と劉尚宮だけである。
長子を産んでいるのは劉尚宮だ。領議政はなるべく長子が良いと言った。
何故なら、冊封の際にいちゃもんをつけられずに済むからである。
東瀛のこの国には宗主国があり、なんでもそこに伺いをたてねばならなかった。
いくら、正一品の内命婦の王子だろうと次子は認められないだろう。
「私情よりも国を考えなくては…意地をはるだけ無駄ね。憎くても育てるわよ!李尚宮!」
外で控えていた李尚宮が部屋に入ってきた。
「御用でしょうか?」
「劉尚宮を淑儀に命じるわ!」
「従四品の淑媛で宜しいのでわ?」
「だめよ。高い位じゃなきゃ…それにこなたに対する恨みは淑媛では晴れないわ」
「か、畏まりました」
夜中に出した教旨は翌朝、劉尚宮の元に届いた。