あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」
速水さんからは返事の催促もない。

俺の決断を何も言わずに待っている、じっくり考えて納得する時間を与えてくれているみたいに。

夕暮れの空が水面を紅く染めていた。

赤い靴の少女像も噴水広場も夕陽に染まっている。

俺はゆっくりとヴァイオリンを構えた。

LIBERTEは解散しない、解散なんかさせないーー心の奥底から湧き上がる意志をこめる。

ライブやコンサートで、必ず最初に歌う「カナリア」をヴァイオリンで奏でる。

拓斗と奏汰の奏でるギターの音色を思い出しながら。

ヴァイオリンで奏でる「カナリア」はギターで奏でるよりも哀愁漂う音色で、こんなにも悲しい曲だったか? と思う。

1人で奏でる曲はこんなにも寂しかったか? と心細くなる。

俺のヴァイオリンの音色を聴きつけ、俺の周りに人集りが広がっていく。
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