あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」
「和音ーーっ」

閉めた扉の向こうから、俺を呼ぶ声に振り返った。

エマが扉を勢いよく開けて駆け出し、俺の背にしがみついた。

その腕の力強さに「エ、エマ?」声が漏れた。

「和音」

「お置いていいかないから……よー用意して」

俺はエマの方に向き直り、エマの頭を撫でた。

エマは俺を見上げて離れようとしない。

俺はエマの肩に手を置き、エマをじっとみつめた。

「き着替えて出ーてくくるまで、こーここでまま待ってるから」

エマはコクリと頷き、振り返りながら部屋に入った。

子どもみたいだ……ふと、言葉がこぼれる。

俺がエマとデュオを組んでいた弟、トニーがエマにどれ程ダメージを与えているのか? 俺には検討もつかない。

エマは俺が日本に帰ると話した時、帰らないでと泣き叫んだ。

が数日後。
エマは手のひらを返したように、俺の意志を受け止め、どこかぎこちない笑顔を見せた。
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