あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」
俺の知らないところで、俺の意志を受けたエマと我が儘し放題のトニーの間で、どんなやり取りがあったのか? 

俺はエマの口から全て話してほしいと思う。

思い切り全てを吐き出し、元のエマに戻ってほしかった。

俺はトニーとのギクシャクした状態に気づいていながら、トニーに見切りをつけた。

日本に帰ってきたことを後悔したくはない、俺は悪くないと、俺は自分自身に言い聞かせた。                    
俺は速水さんにエマを預け、授業を受けた。

昼休み。
花音から預かった音源を聴き、アドバイスを箇条書きし、花音に手渡した。

「練習に付き合えなくてすまない」と、断りを添えると、花音は「新曲頑張ってね」と俺の手を握りしめた。

花音の思いと共に花音の手の温もりが伝わり、エマのことで悶々としていた気持ちが少しだけ軽くなった気がした。
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