月が綺麗ですね
「何を考えている?」

「........」

「進藤っ!」

「えっ!?あ、はい」


驚いた顔はきっと間抜けだったはず。



「どうした?まさか俺を前にして緊張しているのか?」

「き、緊張...ですか?」

「ああ、膝がわずかに震えているし、両方の手のひらも硬く結んでいる」

「あっ」


私は思わず握っていた拳をほどくと、体の前で両手を重ねる。彼はそれを見てクスクスと笑い出す。


「副社長?」問いかけて私は不思議顔になった。


スッと、彼は立ち上がり、


「逢いたかった。お前の顔をもっとちゃんと見せてくれ」


長い指が私に伸びると、顎をクッと持ち上げた。


.....!!


一瞬で頭は真っ白になってしまう。そのくせ心臓はドキドキと激しく高ぶる。


「俺がいない間、寂しかったか?」

「...あ、あの」


震えて声が上手く出てこない。
< 124 / 316 >

この作品をシェア

pagetop