月が綺麗ですね
私の視線は副社長に釘づけだ。


「どうした?ちゃんと答えてみろ」

眼鏡の奥には意地悪な色をたたえた瞳がこちらを見ている。

この人は私の気持ちを知ったうえで聞いている。

...きっとそう。


「.....」

「答えられないなら、俺がその答えを言ってやろうか?」


さっきの飯塚さんみたいに私の瞳も潤んでしまった。


副社長は意地悪な笑みを浮かべて、「ククッ」と喉を鳴らすように笑った。


「お前、飯塚に嫉妬しているだろう?」


...つっ。


私の感情は完全に見透かされていた。

あなたは酷い。だって私と飯塚さんの両方の気持ちを知った上で、そんなもてあそぶようなこと。

何だか切なくなって、ツーッと涙が頬を伝った。


でも悔しいけれど、私はこの人のそんな態度に体が反応してしまっている。

私の瞳は間違いなく、『あなたが好き』と訴えてしまっている。


彼はネクタイをその長い指で緩めながら、

「さっきの答えだが...お前は俺に会いたかった」

口角がわずかに上がる。
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