月が綺麗ですね
「不安だったんです。だって、副社長はモテるだろうし私なんか...。秘書室の存在意義を考えればやっぱり飯塚さんだってお姉さま達だって花嫁候補だし。それに、確証がなかったから...」

「確証?」


彼は少し考え込んだ後、


「...お前が好きだ。これで満足か?」


優しい声でそう言って、左手で自分の体を支え右手で私の髪を撫でた。


鼻と鼻がくっつきそうな距離まで彼は顔を下げると、


「お前を不安にさせてしまったことは悪かった。今日、俺がわざわざ飯塚に帰るように言いに行ったのは、ああでもしないと飯塚が帰らないからだ。お前とゆっくり二人だけの時間が作りたかったからだ」


優しい瞳が私の心を探るように見つめている。


「ご、ごめんなさい...」


私はとっさにそう呟いていた。


「他の女に興味はない」


彼に心音が聞こえてしまいそうなくらい私の胸は激しく上下している。


「お前は俺のことをどう思っているんだ?」

「...好き...です。どうしようもないくらい」

「素直だな。俺も同じだ」


そして、瞳の中に燃えるような赤い色を灯すと、

「これはお仕置きだ」そっと私の首筋に唇を落とした。


「きゃっ」


体が勝手にビクンと震えた。
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