月が綺麗ですね
「いや、そんなことはない。だが俺はてっきり...」


彼の瞳はさっきとは打って変わって穏やかな色に変化していた。


「お前が男を知っていたら、おそらく俺のすることを受け入れていたはずだ」


副社長のすることを受け入れる?

男性経験のない私はよく分からない。


「その...お前、キスは慣れているようだったし。だから...」


ふっと視線をさまよわせると、彼は自分の髪をグシャグシャとした。

そしてため息を漏らす。


「お前の元カレに嫉妬してる。お前にキスの仕方を教えた男に」


...副社長。


「そんな彼氏がいたんだから間違いなくその先も当然...」


言葉を濁す彼の顔は少しだけほころんだように見えた。

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