月が綺麗ですね
「お前、しっかりしてそうで案外早とちりだな」

その一言が私たちを覆う空気をガラリと変えた。


「そうですか?」

「落ち着いて考えたら俺の気持ちなんて分かるだろう?それとも飯塚に嫉妬しすぎて我を忘れたか?」


うっ...その通りだ。一瞬にしてメラメラと嫉妬の炎が燃え上がり、頭が悪い方へ悪い方へと考えちゃってた。


「そんな子供っぽさが抜けないところも可愛いな」


頭をポンポンとされる。

えっ!?

副社長の顔には満面の笑みがたたえられている。それは初めてみる笑顔かも知れない。

その笑顔は私の心の奥深くにあった氷を溶かすようだった。

どこか冷たい感じの人だったから、好きだけどちょっと怖いと感じることもたまにあった。


「副社長が怖くて言いたいことが言えないこともありました」

「副社長と言う立場上、相手になめられないように仮面を被ることもある。だが、風花の前ではこれからは素の俺を見せていくさ」


再び笑顔を向けられる。

その笑顔がとっても素敵だったから、私の顔はまた赤くなってしまった。
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