月が綺麗ですね
「二股かける男の常とう句だよな。バレそうになったら『あいつは俺の妹だ』って言うの」


弘くんの声が明かりの無い室内に響く。


審判は下った。



無言で立ち尽くしたまま、私は泣いた。

声をたてることもなく、たださめざめと泣いた。


胸に抱きしめていた弘くんのトレーナーの袋を足元に落としていたことも気づかずに。



「...風花」




すべての点と線がつながった。


「うふふ...あはは...」


私、騙されていたんだ。


徹さんのやっていることって、結局六ツ島一族の他の人間となんら変わらないじゃないですか。



心の痛みはもうなかった。


無いのに、私は泣いた。
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