シンさんは愛妻家
放射線科医としてのここでの主な仕事は、画像の読影と、
主にガン患者の放射線療法を行う患者の計画を立て、その間とその後の管理も担当。
(照射部位は火傷の様な症状を起こすこともあるから)
主治医と連携を取って患者の治療に当たるって感じかな。
実際の照射はレントゲンの技師がいるので、
僕等は照射前の患者の診察と最初の照射の位置を決め、確認をするって感じだ。
夜勤は技師も含めた体制なので部長の僕以外は週に1度程度になっているようだ。


「いつでも迷ったら相談して。午後の会議が終わったら、読影室にいるから」

若い放射線医が多いこの病院は
読影は僕の確認が終わってから各科の主治医に報告される事になっている。

「ありがとうございました」

と八木がホッとした顔で部屋を出て行く。


僕が怖い上司じゃないと分かってもらえたらしい。


眩しい窓辺に立ってうーんと伸びをする。

明るいところで過ごせるなんて思ってもいなかった。

大抵放射線科は地下だからね。
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