シンさんは愛妻家
「…先生は…困っている人に…誰にでもそんなに優しいの?」

え?

「誰にでもじゃないよ」

オマケに優しい訳じゃない…と思う。

「…私にだけ?」

とイブキはすごく嬉しそうに小さな声をだす。

「まあ…そうかな。
好きになると…独占したくなるタイプなんだと思う。
自分が相手のことを全部知っていたいって、
どんな事にも関わって…1番近くにいたいって…
『独占欲』が強い男なんだ。
…そういうの…鬱陶しくてイヤかな?」

イブキはブンブン首を横に振って

「嬉しいです!
今までこんな風に関わってもらった事がなくって…
私…先生の恋人にしてもらって嬉しいです
…すごく嬉しいです…」

とイブキは突然涙をポロポロと落とした。

僕は慌てて立ち上がってイブキの横に立ち、涙を掌で拭う。



…今まで鬱陶しいほど愛されたという記憶が…あまりないのかな…

施設の職員の人達は愛して育ててもくれただろうけど…

彼女だけの味方ってわけじゃなかっただろう

贔屓したり、鬱陶しいほどの愛情を注がれたり

そういう経験は…

あまりないのかもしれない…




僕がイブキを愛する事で

鬱陶しいほど愛されることを知ったなら…

そう

…僕でなくても

良いのかもしれない。


イブキは僕にきつく抱きついてくる。

愛して欲しい

と言ってるように


いいよ。

僕が教えてあげる…



君が僕を必要としない日が来るまで…


…僕はオトナだから




僕はイブキの身体を抱き上げ、

もう一度ベッドに向かう。

いくらでも愛してあげるよ

君の心が満たされるまで…

と心の中で囁いた。














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