拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 カップルの土曜日の夜の過ごし方、私達の場合。

 比較的夜の早い時間にマンションへ戻った私達は、冷蔵庫の余り物で晩御飯を作った。

 「たまに良いんだよね。こういう風に過ごす休みの夜も。本当に結婚してるみたいで」

 二人で台所に立ち、あれこれ試行錯誤しながら料理を作る。

 世界中のどこにもない。私達だけの、今夜限りのオリジナルメニュー。

 平皿に盛り付けられた、パスタのような焼きそばのようなそれを、優斗は二人分テーブルに並べている。

 とても大財閥の御曹司とは思えない、普通の姿がやけに胸をくすぐる。

 そして、優斗はグレーのパーカーといっても。普通の新社会人では、なかなか手の届かない海外ブランドのルームウェアを着たラフな格好で、さりげなく私に聞いてきた。

 「ていうか、沙綾さ。昼間言いかけた”だから”の続き、俺すごく気になるんだけど?もしかして。”ずっと傍いるから、だから......お嫁さんにして”とかだった......??」
 
 優斗は私に質問しながら、あえて私に視線を合わせないようにしているようだった。

 そして、続けてこう言った。

 「もちろん。紗綾はずっと、俺の傍にいるんだから。そんなこと言われなくたって、俺は沙綾を......」

 「”俺は、沙綾を......”なに??」

 今度は私が彼に聞き返す。

 すると、彼の瞳が私を捉えた。
 
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