拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 優斗は自ら答えを打ち出して、沈黙を打破した。

 彼の導き出した答えは、確かに私の思い描いていたものと相違なかったけれど、いざ言葉にされると気持ちが後退する自分がいた。

 それでも。少し間を空けてしまいながらも、私は彼の言葉に小さく頷いた。

 しかし、そんな私の態度に彼は今ひとつ確信が持てなかったようで、今度はストレートに聞いてきた。

 「いいの?......俺に抱かれても??」

 私は、首を縦に大きく二回振った。

 半ば引き返せない状況だった。

 優斗は私の髪を丁寧に梳きながら時々髪にキスを落として、熱くしっとりとした胸板へ私を抱き寄せた。

 今、彼がどんな表情をしているのかは分からない。

 私は身をすくめて、彼の行為をただ受け止めていただけだった。

 先ほどとは対照的に力の入った私の身体に、優斗は違和感を感じているのだろうか?彼は風のように微かに私の身体に触れる。
 
 髪に、瞼に、頬に、そして唇へと落とされたキス。

 いつもならそれが”おやすみのキス”になっていた。

 しかし、今夜は彼の唇が私の唇から離されたあと、彼の唇はそのまま私の首筋を辿った。

 「......っ!」

 私の波打つ頚動脈に彼の唇が押し当てられた。そして、開口した部分から彼の濡れた舌先が触れた時、

 「ゃ......っ!」

 明らかに。思惑とは外れた甘くない声が私から漏れた時、彼の動きが止まった。

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