拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 「浦田さん......っ!」

  嫌だ。この男(ひと)にだけは、泣き顔を絶対に見られたくない。

  声を掛けられた私は一瞬だけ目配せをして。後は、うつむいてテーブルの一点を見つめていた。

 「日曜日の昼間に一人でカフェに居るなんて、どうしたの?デートしないの?」

 ぐちゃぐちゃな感情を挑発する浦田さんの言葉。

  私は、なんだか小馬鹿にされているような感じがしてムカムカしてくる。

 叫び出したい気持ちを必死で飲み込んで、反撃した。

 「彼、明日のプレゼンの準備で午前中だけ会社に行ってるんです。ここに居るのは、彼を待ってる間の時間潰しです。午後から二人で映画を観に行く約束をしてます。」

 「......へぇ」

  疑るような浦田さんの言い方に、ますますカッカする。

 「ていうか、浦田さんこそ。ここで独りでお茶ですか?」

 「ああ、うん。ここオレの行きつけなんだ。集中したい時とかよくここで仕事してる。今、まさに沙綾ちゃんの彼氏が会社に行ってる内容の事を処理してたんだよ」

 どうもこの男(ひと)の言い方は、常に高飛車に聞こえて仕方がない。
 
 「てか、覚えてるよね?オレとのデートの約束」

 「っ!あれは浦田さんが勝手に言ってることじゃないですかっ!」

 イライラが抑えきれず、私はついに先輩に向かって声を荒げてしまった。
 
 「そんなに、オレのこと嫌い?」

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