拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 外に出ると間髪入れずに、焼け付く様な真夏の日差しが容赦なく私を照らし出した。

 天上から万人を見渡す強い光に見出された私に、隠れる場所などない。

 彼に謝らなきゃ......。

 浦田さんとお茶したこと。

 でも、正直に話せば、きっと優斗を怒らせて傷つけることになる。

 それでも、黙っていたら彼を欺くことになる。

 それとも、私は自分の気持ちを軽くしたいだけだろうか......。

 彼からの愛情がこもったメッセージを受信しても私のスマホは軽くならず、まだ手元が重苦しい。

 もうすぐ午後二時。

 彼は、とっくに家に戻ってきている時間だ。

 今、LINEを送れば、すぐに既読になるかもしれない。

 私は気持ちの整理がつかず明確な答えも導き出せないままに。ただ焦りだけが募り、彼にメッセージを送信した。

 「優斗、ごめん。私、嘘ついてた......」

 浦田さんとお茶したとは言えなかった。

 臆病者で卑怯者だ、私......。

 心の中で自分を批難する代わりに、彼に優しくされたい。

 そんなズルイ考えが深層心理に隠されていた。

 LINEはすぐに既読となり、あたかも私からのメッセージを待ちわびていたかの様な返信の早さだった。

 そして、その内容は。私の思った通り、どこまでも優しいものだった。

 「今どこにいるの??すぐ迎えに行くから、そこで待ってて」

 「いま、駅前のデパートに居るよ......」

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