拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 私が彼の部屋で発見した一枚の写真。

 写真の裏には達筆な字で、こう記されていた。


 二000年 四月三十日、中庭にて。 『優斗と怜斗』  撮影 / 戸川 理玖斗
 

 亡くなった初恋の彼の名前は、”優斗”

 そして、現在の恋人である彼の名前も、”優斗”

 それなのに。写真の裏に記された二人の名前は、”優斗と怜斗”。

 ”怜斗”

 そして、

 ”理玖斗”

 頭の中で、この二つの名前を並べた時。私は、ある事実をはっきりと思い出した。

 ゴールデンウィークに帰省した際に、亡くなった優斗君のお家へお参りに行った時。彼へのお供えものに記されていた三人の名前を。

 怜斗、理玖斗。それから......、

 ”尋斗”


 もしかして ーー。

 そうだ!

 彼のお父さんの名刺を......!

 私はバラバラに散らばったパズルのピースを、どうにかしてつなぎ合わせたかった。

 だけど。パズルが完成した時に、それと引き換えに最も大切なものを失うような予感もしていた。

 ううん、もう既に。あの写真を発見した時から崩壊は始まってる......。

 そして、きっと思い知らされる。

 彼と暮らす、この家が。子供の手でも簡単に壊せるような砂の城だったってことを。
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