拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 「ただいま〜。......沙綾〜??」

 私が過去の写真を発見してしまったことなど、つゆ知らず。彼はスマホを受け取ってリラックスした雰囲気で帰ってきた。

 対照的に私は警戒心と言っても過言ではないだろう。あの写真を見てから急に彼が他人のよう思えた。

 彼を信頼していた。

 私に隠し事なんて無いと思っていた。

 その隠し事は。私にとって、限度を超えていた......。

 ーー 彼のお父さんから頂いた名刺を確認すると。黒字で大きく、『戸川 尋斗』の名前が記されていた。

 さらに、もう一つの事実。

 亡くなった優斗君のお供え物には。彼と私が勤めている会社の社長、『藤川 忠行』の名前もあった。

 藤川社長は彼の叔父だ。

 そして、藤川社長は彼のお父さんの弟で。先代の『GEED』の会長の一人娘、現在の社長夫人と結婚して婿養子に入ったと聞いた。

 順を追って一つ一つのピースを組み合わせていくと、

 亡くなった優斗君と現在の恋人である彼が、兄弟であるという可能性が自ずと浮かび上がってきた。

 それにしても、二人はあまりにも似ていない。

 現在の私の恋人である彼は、金髪に近い薄茶色の髪と琥珀色の瞳を持っている。

 だけど、亡くなった優斗君は、

 ツヤツヤの黒髪に、意志が強そうな黒目がちの奥二重。

 ーー 優斗君のルックス。彼のお父さんにそっくりだ......。

 私、彼のお父さんと以前にもどこかでお会いしたことがあると思ったり、誰かに似てるって思ったのは。顔立ちが優斗君とそっくりだからだ。

 「よかった.....。返事がないから。沙綾が、どこか行ったんじゃないかと思って、焦ったよ......」

 
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