真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「......どうだった?」

よほど感心が深いのだろう。まるで躾られたオウムのようにジークは、ついさっき私へ送ったLINEと同じ言葉を一語一句違わずに発する。

「赤ちゃん。......見えた?」

真意に迫られると、どうしてか私は手のひらに、ぎゅうっと爪を食い込ませたくなり、固く拳を握った。その反動か、どうか自分でも分からないけど......つぐんでいた口が開いた。

「こんなとこで話したくない。こんな行きずりの場所では話したくない。 私、きちんと話すから、あなたも話しを......」

何言ってるんだろう、私......。

これから先の展開に軽快な未来なんて絶対無いのに。だったら別に、いいじゃない。この出会い頭の玄関先で話をすれば。そして話し終わったら......、

「優花。 うん、そうだね。 ごめんね、オレ色々焦ってた。 落ち着いて話をするべきだよね。 何よりも君の身体が心配だ。 妊娠すると何かと体調に変化があって、体調不良に陥りやすいって......。 オレも調べたんだよ」

ジークは、この世の誰よりも優しい言葉を放った。

彼が私に、あるいは未だ見ぬ我が子へ向けた慈愛は皮肉にも、私に罪悪感とジークに対する憐れみを生み出した。

こんなに混沌とした気持ちを抱えた時は、一体どう行動したらいいのか分からない。

冷たい乳白の大理石に無感覚の二本足をたずさえて、ただ立ち尽くす私にジークは近づいてきて背中に、そっと手のひらをまわした。

「オレの部屋で話そう」

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