真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「入って」

見慣れた間取り、見慣れた景色。ジークの言葉に促されて、それまで俯いていた顔を反射的にあげた私の目に飛び込んできた景色は、広務さんと出会うずっと前から記憶に染み込んでいた風景と何ら変わらないものだった。

ジークの部屋からだと、あの高層ビルはちょっと斜めに見えるんだ......。

私の部屋からだと、ちょうど正面に来てる。

ジークと私の部屋は隣だから、そう見え方は変わらないけれど、なんか新鮮。

とりとめのない思考を虚ろに巡らす私にジークは再び催促する。

「上がって。 ソファに座って待ってて、今コーヒー淹れるよ。......あっ、カフェインは良くないね。 じゃあ......、ごめん、ミネラルウォーターしかない。 何かフルーツでもあれば.......」

「あっ、いいよっ.......! 大丈夫。 ありがとう。 何も要らないよ......」

「いや、でも」

「本当に、いいから」

ジークと私は乾いたやり取りで押し問答を何回か繰り返した後、ようやくソファに浅く腰掛けた。互いに前傾姿勢をとり、どちらからともなく重く口を開いた。

「あの.......」

「あのさ」

相手の出方を待つ数秒間の沈黙が続く。

言わなきゃ。私、言わなきゃーー。

タイミングを見計らっている内に随分と間が空いていたようで、先にしびれを切らしたのはジークだった。彼は上体をグイッと大きく私の方へ向かせると重厚な口調で口火を切った。

「優花。 今後のことは全て俺に委ねてくれ。 これは懇願ではなく、いや......強制と言ってもいい。 相応の理由がある。お腹の子の父親としての責任はもちろんの事、たとえ、君とオレの間に何もなかったとしても......」

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