捨てられなかった想いを、今
「だーから!同級生だって言ってんだろーが」


「え!?濱田さんは、九州のひとだよ!?」



俺の公式プロフィールに載ってる情報を口にする塩尻さん。



「俺の親、転勤族でさ。中学のとき1年間だけ、塩尻さんたちのクラスにいたんだよ?」


「嘘でしょぉぉぉぉぉ!」



信じらない様子で、頭を抱えてしゃがみ出す。



「だ、大丈夫?」



恐る恐るしゃがみ出した塩尻さんの隣にしゃがむ。



「はやく正気を取り戻せ」



コートの帽子を掴んで塩尻さんを立たせる。

手馴れてる桧山の塩尻さんに対する扱いに、雑だけど愛情がこもっているのがわかって入り込めないとわかる。



「桧山と塩尻さんはまだ付き合ってたんだね」



見てればわかることだから、わざわざ聞かなくてもいいのに。
わざわざそれを認められて、自分が傷つく道を選んだのはなぜだろう。

少しでも〝違う〟という言葉が返ってくる可能性に期待をしたのだろうか。

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