男嫌いな僕と新撰組。


はあ、どうせだったらこの格好を生かしてバカなおとこ供を誘惑のひとつやふたつしてみようかなあ

え?どうしてって?

だって、退屈じゃん


それに
一さんのイケメンに魅せられているだけなんて、僕の性にも合わない



「流唯、もう直ぐ森を抜ける。故に俺も刀の姿にならなくてはならない」


突然立ち止まった一さんに驚きつつ、顔を上げて一さんの顔を見る。


『あ、そうですね』


そうだった。一さんに嫉妬してる場合じゃない…僕、新撰組に入るんだ…

……入隊できるかな、いや、入隊するんだ…必ず



「俺は刀の姿になるが、流唯は屯所への道を知らない。して俺の声が頭の中に響くようにしておく」


え、それ気持ち悪い


『わ、わかりました。……』


「では…気をつけてな」


そう言うと、一さんは刀の姿に…


『…わっ』


風がざわっと吹いたのに驚き、思わず瞳を閉じてしまった。


『……え』


それから瞳をしだいに開けていくけど、一さんがいた場所には刀しかなかった

……もしかして、これが一さん?


『綺麗な刀……あ、真剣なんだ』


本物の真剣。その圧倒的な雰囲気になんかテンションあがる!!


僕、結構真剣とか好きなんだよね

ほら、かっこいいじゃん?

僕だって一応……おとこだし…かっこいいのとか……好きだもん

……ってひとりでなにやってんだ…


『……はあ、よしっ屯所向かうとするか…』


一さんが入ってる?という真剣に手をつけると


《俺が案内する》

……っていう低音ボイスが…


『ええっ!?触れたら声が聞こえるしくみなの?!え、きも』


《…………すまん》


…ごめんなさい!

まじごめん!一さん、ピュアすぎる!

そして、かわいいすぎる!


《男にかわいいは…》


一さんが悪いんだよ、それは。



《…急ごう》


はい、すみませんでした。


『……改めて』

その声を合図に僕は足を一歩踏み出した

そうして一さんと屯所への旅に…僕は出た

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