君の思いに届くまで
皆が森に出発するのを見送って、テント会場の少し上に行った先にあるロッジの共用浴場に向かった。

浴場は、割りと広く時間も早いせいか空いていた。

昼間のバーベキューで焼き肉の臭いが染み付いた頭と体をいつもより丁寧に洗う。

普段と違うシャンプーは洗い流すと妙にごわごわして、自分のシャンプーを持参すればよかったと少し後悔した。

心だけじゃなく髪まですっきりしないことにガッカリだ。

脱衣場の洗面台の前で化粧水を顔にはたきながら久しぶりに自分の顔をまじまじと見つめた。

女学生達とは違う、少しくすんだ肌。

決して色白ではなかったけれど、昔から健康的だと周りから言われて自分なりに納得していたはずだった。

だけど、今は彩みたいな白くて透き通る肌を羨ましく思う。

しかも、今日は普段よりもごわごわの髪が自分の女性らしさを消してしまっているかのようで、鏡に映る自分が一層惨めに見えた。

「ネガティブ」

鏡の中の自分に呟くと、荷物を持って外に出た。

夏の夜、自然に囲まれた空気はひんやりとして風呂上がりの熱く火照った体を優しく包んでくれた。

テント会場に続く階段をゆっくりと降りていくと、前から女学生達が楽しそうに上がってきた。

「あ、ヨウさん!もうお風呂に入ったんですか?」

「うん。お先にごめんね。森の散歩はどうだだった?」

「真っ暗で何も見えなかったの。そうしたら途中で彩が気分悪くなって、今テントで峰岸先生にみてもらってる」

今、彩が琉とふたり?

女学生達は「じゃ、いってきます!」とキャッキャ笑いながらロッジの方へ上がって行った。
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