君の思いに届くまで
彩は本当に気分が悪いんだろうか。

琉とふたりになりたくてそんな状況に持っていったのかもしれない。

あの子ならそういうことやりかねないから。

そんなことを考えていたら、テントの方に降りて行く足が止まってしまった。

嫌だけど、ふたりきりでいるのを見たくはないけど、気になってしょうがない自分がいる。

私だって今回は付き添いの職員でもあるわけだし、調子の悪い彩の様子を確認する義務もあるよね。

なんだかんだ自分に言い訳しながら、再び階段を降りて行った。

テントの外にふたりの姿はみえない。

きっとテントの中にいるんだろう。

胸がドクンドクンと強く脈打つ。

変な汗が額に滲んでいた。

ごわごわになった髪を少しだけ掻き上げる。

3つ立てたテントの一つの前に琉と彩の靴が並べて置かれていた。

ここだ。

テントの前なのに何も聞こえない。

あまりに静かすぎて妙な気持ちになる。

声をかけてからテントの中に入るべきだろうか。

だけど、そこまで気を遣う必要ある?

だって、琉は私のこと・・・。

ゆっくりと深呼吸して、そっとテントの入り口から入った。

一応「おじゃまします」と小さく声をかけて。


・・・え?


そこには一番恐れていた、見たくない光景が広がっていた。


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