君の思いに届くまで
待ち合わせの時間までまだしばらくあったから、駅前のデパートで時間をつぶす。

洋服を新調したのはいつだろう?

婦人服売り場を横目に通りすぎながら、きれいなオレンジのワンピースに目が留まった。

きれいな色。

私のテーマカラーはオレンジ。

この色を見ると不思議と元気が出て、何事もうまくいくような気持ちに自分を押しやってくれるんだよね。

思わず引き寄せられるようにそのワンピースに近づき手に取る。

控えめに寄ってきた店員さんが、
「よかったらご試着なさって下さいね」
と優しく声をかけてきた。

感じのいい店員さんの笑顔に思わず、
「はい、じゃあのこれ試着していいですか?」
と聞いていた。

「どうぞどうぞこちらへ」
と店員さんに促されるままに試着室に通された。

試着室のカーテンが閉まって、ふぅと息を吐いた。

全身鏡が、泣きはらした目の私を移している。こんな顔じゃ、健に泣いてたってバレバレだよね。

我ながら呆れて腫れぼったい目で鏡の中の自分に笑った。

「お客様いかがですか?」

カーテンの向こうからさっきの店員さんの声が聞こえる。

慌てて、「あ、すみません。もう少しかかります!」と答えた。

そうそう、試着室の外で私にワンピースが似合ってるかどうか確認するのも店員さんの大事なお仕事だものね。

急いで自分のブラウスとズボンを脱いでワンピースに袖を通した。
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