君の思いに届くまで
霧の向こうからゆったりとした足音が聞こえてきた。
「ヨウ、そこにいるの?」
穏やかな愛しい声がその足音と共に近づく。
霧が日の光が高くなるにつれ薄まっていった。
琉は私の隣に腰掛けた。
そして私の腰を抱いて引き寄せる。
「寒いだろう?」
琉は手にもっていたカーディガンを私の肩にかけた。
イギリスの朝は夏でも寒い。
緯度は丁度北海道と同じくらいだから。
「ありがとう」
大きめの琉のカーディガンにすっぽり包まれる。
体はすっかり冷たくなっていた。ベッドから出て来たばかりの琉の体がとても温かくて気持ちがいい。
「今日はどこかに出かけようか。ウィンザー城には行ったことある?」
「ないわ」
「とてもきれいな城だ。周囲の庭園も美しい。是非ヨウを連れて行きたい」
「私も行ってみたい」
私はそう言うと、琉の温かい体にしがみついた。
琉はくすぐったそうに笑う。
「じゃすぐに朝食を用意するよ」
「琉が作ってくれるの?」
「もちろん。ヨウをここに招いたのは俺だからね」
琉は私の手を取って立ち上がった。
霧は随分晴れていた。
玄関の扉が向こうに見える。
玄関に向かいながら私は尋ねた。
「いつもこんなに霧が深いの?」
「そうだね。この時期は特に」
「霧は幻想的だけど、見えないってこんなにも不安な気持ちになるのね」
「見えない、か。そうだね。そこにあるものが見えないのは辛いし恐い」
琉は玄関の扉を開けて私を中に入れた。
「ヨウ、そこにいるの?」
穏やかな愛しい声がその足音と共に近づく。
霧が日の光が高くなるにつれ薄まっていった。
琉は私の隣に腰掛けた。
そして私の腰を抱いて引き寄せる。
「寒いだろう?」
琉は手にもっていたカーディガンを私の肩にかけた。
イギリスの朝は夏でも寒い。
緯度は丁度北海道と同じくらいだから。
「ありがとう」
大きめの琉のカーディガンにすっぽり包まれる。
体はすっかり冷たくなっていた。ベッドから出て来たばかりの琉の体がとても温かくて気持ちがいい。
「今日はどこかに出かけようか。ウィンザー城には行ったことある?」
「ないわ」
「とてもきれいな城だ。周囲の庭園も美しい。是非ヨウを連れて行きたい」
「私も行ってみたい」
私はそう言うと、琉の温かい体にしがみついた。
琉はくすぐったそうに笑う。
「じゃすぐに朝食を用意するよ」
「琉が作ってくれるの?」
「もちろん。ヨウをここに招いたのは俺だからね」
琉は私の手を取って立ち上がった。
霧は随分晴れていた。
玄関の扉が向こうに見える。
玄関に向かいながら私は尋ねた。
「いつもこんなに霧が深いの?」
「そうだね。この時期は特に」
「霧は幻想的だけど、見えないってこんなにも不安な気持ちになるのね」
「見えない、か。そうだね。そこにあるものが見えないのは辛いし恐い」
琉は玄関の扉を開けて私を中に入れた。