先生と双子と幼馴染と。
2人が見えなくなってからようやく翔也が口を開いた。


「双子、だよな?」

「そうだよ。柚希くんはワケありなの」

「そうなんだ」


それ以上は何も聞かずに口を閉ざした。

制服でも溢れ出る可愛さは抑えきれていないけど、私服になると普通に女の子にしか見えないから、柚希くんをすぐに受け入れられない気持ちはわかる。


「早く帰ろ。アイス溶けちゃう」

「そうだね」


その場の空気を変えるように陽菜は明るい声を出した。


「翔、行くよ」

「翔也…?」


どうしたんだろう? どこかをじっと見ているみたいだけど。


「あれって、水野?」

「え?」


翔也が指差す方を見ると、アイス屋さんのエプロンを着けた水野くんがいた。

水野くんもこちらに気づいたのか、小走りで近づいて来た。


「ご来店ありがとうございます。他のお客様のご迷惑になりますので長居せずにお帰りください」

「水野、ここでバイトしてるの?」

「……家の手伝い」

「家!?」

「堀江さん、いちいちリアクション大きいんだけど。リアクション芸人にでもなるわけ?」


水野くんの冷たい視線が痛い。
リアクション芸人なんて目指していません。


「母さんが開いた店。アイスだけじゃなくて別のものも出すからまた来てって言ってたけど、」

「また来るね!」

「あ、うん。母さんも喜ぶと思う」


陽菜に対する態度だけおかしいって!
私と翔也は来なくていいけど陽菜には来て欲しいってことでしょ?

残念でしたね! 私たちは3人セットなので!

なーんて、そんなことは言えるはずもなく「美味しかったよ」と言ってお店を後にした。
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