ぶっ壊れるほど愛してる


「んーん…。俺の片思いかな?」
白百合蓮は切なげな表情を見せる。
その表情は誰もがドキッとしてしまうくらい儚げだった。

思わず受付嬢もその顔に赤面して黙り込む。


「事務の櫻乃さん。」

「え!?」
いきなり挙げられた名前に受付嬢は素っ頓狂な声を出す。


「俺の心に決めた人。

ここの事務の櫻乃華さん。」

「櫻乃さん…?」
受付嬢の子は華の事を知らない様子だ。
そりゃそうだ…白百合コーポレーションは総社員数500人を超える大企業なんだから。
全員の名前なんてわからないと思う。

白百合蓮ほど目立っていれば認知されるだろうが…。


ってそれより白百合蓮が華を…?


「加藤さん…。
俺のこと少しでも思う気持ちがあれば、そっと見守っててほしいな。
俺、この気持ち大事にしたいんだ。
まだ櫻乃さんには伝えてないんだけどね?」
白百合蓮はとびっきりの蕩けそうな笑顔を見せ、そう言った。

顔は笑顔だけどその言葉には有無を言わさぬ力があって、さすが白百合社長の息子とか思った。

この言葉を投げかけられて、白百合蓮の恋路を邪魔する人なんて居ないだろうなって思う。


いつの間にか受付嬢は居なくなっていて、盗み見してた私の前に白百合蓮が立っていた。
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