素直になれない、金曜日
私の消え入りそうな声を拾って、目を見開いたのは委員長先輩。
『えっ? まじで?』
『えと、私で、よかったら……』
そう言うと、委員長先輩はわかりやすく顔を綻ばせた。
『まじで助かる!ありがとう!』
ぱああ、と明るくなった顔で私の方を見る委員長先輩に、私にもできることがあるんだ、と嬉しくなる。
部活で行けないと嘆いていた先輩や同級生たちにも口々に『ありがとう』と言われ、悪い気はしなかった。
それから何を買ってくるか、などと委員長先輩と相談していると。
『思うんだけど、』
少し離れたところで、誰かが声を上げて。
みんなの手が止まる。
『女子ひとりって危なくね?なにか危ないことにでも巻き込まれたらどうすんだよ』
そのよく通る声は、恭ちゃんのものだった。
『たしかに、男つけたほうが安全かもね』
ふむ、と委員長先輩が頷いて。
『じゃあ深見、一緒に行ってもらえる? 一番桜庭さんと接点あるのっておまえだし』
委員長先輩が恭ちゃんにそう言った。
私も内心ほっとする。
一人というのは、なにかと心細いものだし、一緒に来てくれるのが恭ちゃんなら怖いものはない。