素直になれない、金曜日

「うん。あとは、なにか家のことでわからなかったら葵依に訊いてくれれば大丈夫だと思う」



そう言って、砂川くんは苦しげにごほごほと咳き込んで。

ぎゅ、と不本意そうに眉根を寄せた。




「何もかも任せっきりで悪い」

「ううん、気にしないで」



だってこんなに辛そうなんだもの。

そういうときは、誰かに甘えてもいいんだよ。



「ゆっくり休んでてね?」



小首を傾げつつそう言うと、砂川くんは小さく頷いた。



「階段上がって左の突き当たりが俺の部屋だから。もし、なにかあったらそこに来て」




じゃあ、と言って砂川くんは階段を上っていく。

その足取りはやっぱり重く見えて。




『砂川くんが早くよくなりますように』と心の中で呟いた。



ふと、階段横の小棚に飾られた写真立てに目がとまる。

中に入っているのは、中学生くらいの男の子と可愛らしい小さな女の子の2ショット。



一目でそれが砂川くんと葵依ちゃんであるとわかった。

まだ幼さが強く残っているけれど、それでも砂川くんだとすぐにわかる。





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