素直になれない、金曜日
つんと中学生にしては大人びて人を寄せつけないような表情をしているけれど、瞳の奥に宿る優しいひかりだとか────
今と変わっていない部分を見つけて、なぜか少しほっとした。
この頃の砂川くんと私はまだ出逢ってさえいなくて。
ましてや、こうやって家を訪れるなんて思いもしなかった。
思えば砂川くんとこうして一緒にいる時間も、偶然の連続の先にあったもので。
────私の知らない頃の砂川くんの写真は、ここが砂川くんの家であるということを忘れかけていた私をはっとさせた。
ここは、砂川くんが育ってきて毎日過ごしている家。
そう思うと不思議な気持ちにおそわれて、落ち着かない。
暫し、ぼんやりとその場で立ち尽くしていたけれど。
───だめだめ。
心の中で自分に言い聞かせて、右頬をきゅ、と軽く抓る。
こうやってすぐに考え事に没頭してしまうのは私の悪い癖だ。
葵依ちゃんのことを頼まれたのに、こんなところで突っ立っていては無責任にもほどがあるよね。
よし、と心を入れ替えてリビングのドアを開けた。