素直になれない、金曜日


そんなの私の方の台詞で。
だってまさか。


「……砂川くんが私のこと好きって言ってくれるなんて思ってなかった」



初恋はかなわないって言うし、ましてや砂川くんがそんな気持ちでいてくれているなんて思いもしなかった。




「桜庭さんが思ってるよりずっと、俺は桜庭さんのこと見てたよ」

「……嘘だ」



そんなわけ、と思って言うと、砂川くんは緩く首を横に振った。




「俺の目には、桜庭さんのがきらきらして見えてた。……それこそ、出逢った日から」


「え……」


「その瞳にうつる景色が知りたくて、近づきたくて仕方なかったんだ。そしたらいつのまにか、」




落ちてた。



そう言って、ふ、と口角をあげた砂川くんが私の瞳をじっと見つめて。




「今日の桜庭さんのクラスのステージ発表だって、桜庭さんの方にしか目がいかないし、もうずっと、俺の目には桜庭さんしか見えてない」





そしてそっと壊れ物でも扱うかのように。




「好きだよ」





あまいあまい声で囁いた。



じわりと視界の端が滲んで。

駄目だ、と思ったときにはもう遅くて、ほろりと涙の雫が零れ落ちる。




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