素直になれない、金曜日
わかっているからこそ、自分の口から
『いいよ』なんて到底言えなくて。
言葉に詰まってごくりと唾を呑む。
どうしようか、と途方に暮れそうになったとき、隣の彼が薄く口を開いた。
「いいよ、それで」
「えっ?」
「ほんと〜っ?よかった!じゃあ、うちの学年はこれで決まりだねっ」
女の子がよかった、と私に微笑みかける。
私は状況に着いていけなくて、きょとんとしたまま曖昧に頷いた。
「お、大体決まったか?あとは、当番の曜日をペアごとに決めてほしい。希望が被ったらジャンケンでもクジでもいいからスムーズによろしく」
『ペア組んでもらっていい?』と聞かれて、彼は『いいよ』と答えた。
それで──────
いや、それだけだ。
それだけ、なんだけど。
「─────……でもいい?」
「へっ?……っ、ごめんなさい、もう1度お願いします」
完全に意識が別のところに飛んでいた私は、彼の言葉を全く聞いていなくて慌てて聞き返す。
「当番。どの曜日でもいい?」
「えっと……はい、大丈夫です」
「そ。じゃ、余った曜日に入ろ」
淡々と話す彼に、こくりと頷いた。