素直になれない、金曜日
本当にいいのかな、私なんかとペアで。
不安がってみるけれど、断られなかったことに心の中ではほっとしていたりもする。
『いいよ』
そう言ってくれた瞬間、戸惑い半分、本当は嬉しくて仕方がなかったんだ。
「俺らの当番、火曜日の昼休みと金曜日の放課後だって」
火曜日の昼休みと、金曜日の放課後。
頭の中で繰り返しながら、スケジュール帳に星印をつけた。
しばらくスケジュール帳とにらめっこしていると、落ち着いた低い声が私の鼓膜を揺らす。
「砂川 駿」
「……へ?」
「俺の名前」
名前だと、そう言われてやっと理解が追いつく。
「……すなかわ、くん」
砂川駿くん。
濁りのない響きが、綺麗だと思った。
呟いて、その響きをゆっくりと噛み締める。
「ん。……あんたは?」