素直になれない、金曜日
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それから数週間が経った、6月29日の金曜日。

まだ梅雨も明けきらず蒸し暑い、ただの金曜日。



……なのだけれど、私にとってはいつもと違う一日で。




『ねーたん!お誕生日おめでとう!!』




朝一番にそう言ってくれた小春の姿を思い浮かべて、ゆるゆると頬を緩める。

そう、今日は私の誕生日。




昼休みにケータイを確認すれば [今日はお祝いだから、ケーキ買ってあるよ] とお母さんからメッセージが入っていた。


もう16歳になるのに、それでも毎年、おめでとうとお祝いしてくれる家族がいるのは幸せなことだと思う。




────でも。



もうすぐ放課後。
今はその直前のHRの最中だ。


頬杖をつきながら、誰にもばれないように小さく息をついた。


今年の誕生日も、きっと、家族以外の誰にもお祝いしてもらえないまま終わってしまうんだろうな。





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