包み愛~あなたの胸で眠らせて~
会話しなくて済んだことで、周囲の関心も私に向くことはなかったから、落ち着いた日々を過ごせた。だけど、広海くんの顔も見れなく、声も聞こえないのは寂しいという気持ちもあった。

自分勝手な気持ちだけれど。

だから、予定を聞かれて何か誘われるのかもと期待に心を弾ませて答える。ちゃんと話がしたいと思いつつもその機会がなかった。

私が避けていたことで機会を失っていたのかもしれないけど、今日話が出来るならしたい。


「何もないけど」

「じゃあ、うちに来ない?」

「うん、いいよ。何時に行けばいい?」

「何時でもいい。紗世が来れる時間に来て」

「えっと、じゃあ1時頃におじゃまするのでいいかな」

「うん、待ってる」


どこか外に出掛けるのかと思ったが、家へのお誘い。予想外だったけど、一応手土産持っていったほうがいいよね……何か家にあったかなと買い置きしてある菓子を思い浮かべてみるが、いいものがない。

今から行くのはベーカリー店とコンビニ。さすがに広海くんが今行ってきた店で買うのはないから、コンビニしよう。好きだというチョコを買おうかな。

今度は受け取ってもらえるといいな。
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