包み愛~あなたの胸で眠らせて~
広海くんは優しい。恋人がいる私に誤解されるような行動をやめさせるために拒否した。

同級生だとしても仲良くしないようにとわざと、冷たい行動を取った。

でも、湊人が弟だと知った広海くんは私に自分を受け入れて欲しいという思いから、辛かった過去や気持ちを話した。

私のことは他の女性と同じように感じないのかな。私と話す時はちゃんと目を見ている。


「他の人みたいに、私を怖いとは思わないの?」

「うん。不思議なんだけどね。昔一緒にいたからなのか、ずっと会いたいと思っていたからなのか分からないけど、紗世のことは怖いと感じるよりも欲しいと感じた」

「欲しい?」


それはどういう意味?

広海くんの気持ちを理解しようと話を聞いているが、これは一番理解出来ないことだった。

彼は視線をあげて、壁の上部を見る。何を言おうか、言葉を選んでいるようだ。何を思って、何を伝えようとしているのかと出てくる言葉を待つ。

なんだか、ドキドキする。

『欲しい』は軽い言葉に聞こえない。私が勝手に重く受け止めているだけかもしれないけれど。
< 126 / 211 >

この作品をシェア

pagetop