包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「焼き肉? ホットプレートある?」

「ない。買いに行こう」


ホットプレートで焼き肉なんて、お肉と野菜を並べるだけで凝った料理とはいえない。

ちゃんと料理といえるものも作れるのに。


「そんなにも焼き肉がいいの?」

「家で焼き肉なんて、もうずっとしていないからしたい」

「そうか。うちにホットプレートあるから持ってこようか?」

「うん」


湊人とは焼き肉をしたり、お好み焼きをしたりするから家にはホットプレートがある。

もともとは叔母夫婦の物だけど。

広海くんはお父さんと二人でしかもアメリカ暮らしだったから、焼き肉も鍋もすることはなかったという。すき焼きが一番食べたかったというから寒くなったら一緒に食べようと約束した。

家からホットプレートとこの前箱買いした玉ねぎを持ってきてから、近くのスーパーに歩いて食材を買いに行く。外は薄暗くなってきていた。

並んで歩くのが少し気恥しい感じがして、私は照れて含み笑いをしてしまう。


「何かおかしいことあった?」

「ううん、おかしいんじゃなくて、楽しいなと思って。こうして広海くんと買い物に行けるのが楽しい」

「うん、そうだね。楽しいね」
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