包み愛～あなたの胸で眠らせて～

焼き肉しながら、広海くんのアメリカでの生活を聞いた。最初は言葉が通じなくて、学校で苦労したけど、徐々に聞き取れるようになっていつの間にか話せるようになっていたそうだ。

話せるようになるとコミュニケーションも取れるようになったから友だちも増えて、楽しくなっていった。

お父さんとの二人暮らしで一番大変だったのは家事だったけど、アメリカではハウスキーパーを頼むのが当たり前だったから、広海くんの家も利用していて、それで何とか人間らしく生活ができたという。

料理も夕食は頼んでいたけど、作る人がアメリカ人だったから日本食が全然出なくて、日本食が食べたくなったら和食レストランに行っていた。


「父さんとの暮らしは大変なこともあったけど、楽しかったよ。休みの日は一緒に外で遊んでくれたし、ゲームも一緒にやってくれた」

「楽しかったならよかった。日本には全然帰ってこなかったの？」

「たまに父さんが仕事で帰ることがあったから、俺も付いていった。そういう時に兄さんに会ったんだけどね。本当は紗世にも会いたかったけど、父さんに言えなくて……」