包み愛~あなたの胸で眠らせて~
本人はその人気に気付いていないし、悪いこともしていない。私も悪いことしていないけど、端から見たらおもしろくないのだろう。

大人になっても人からの妬みに悩まされるなんて……心の中でため息をついた。

昼休み、星野さんからの情報が追い討ちをかける。

社内食堂のテーブルについて、星野さんが来るのを待った。今日小池さんは休みだから、二人で食べようと話していた。

星野さんは十分後に少し疲れた顔で到着。いつもより遅くなってしまったのは、例の女性社員たちに呼び止められたからだという。


「マジでヤバイと思うんですけど、実際のところ池永さんとはどうなんですか?」

「どうって、昨日話したように昔同級生だったというだけだよ」

「それを皆さんに説明したとしても、まだ納得しないと思うんですよね」

「説明したの?」

「いいえ。個人情報なので私からは言っていません。だけど、それを知ったところでそれがなに?と言われると思います。さっき池永さんが出る時、片瀬さんのところに行って何か耳元で囁いて、それを聞いた片瀬さんが頬を赤らめて『行ってらっしゃい』と恥ずかしそうに見送ったと聞きましたけど、本当ですか?」
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