包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「池永くん、片瀬さん。そこにいる?」


私たちを呼んだのは、高橋さんだった。

立ち上がった広海くんは私を隠すようにして、ドアを開ける。


「やっぱり、ここにいたのね! 片瀬さん、大丈夫? あー、ひどい顔ね。はい、拭いて」

「ありがと……うござ……います」


私はあっさりと高橋さんに見つかってしまった。高橋さんは苦笑してハンカチを差し出した。

外出していた高橋さんは今戻り、事の成り行きを堀田くんに聞いたそうだ。それで、私を探しに来てくれたのだった。

高橋さんと一緒に星野さんもいた。彼女は隣の課が騒がしかったから何事かと途中から見ていたらしく、私と広海くんが走っていた方向を高橋さんに教えたらしい。

星野さんも高橋さん同様で心配そうな眼差しを向けていた。


「今日はもう帰った方がいいと思う。課長には私から話すからそのまま帰りなさいよ」

「あ、じゃあ、私バッグを持ってきますね。何か持ってくるものあります」


星野さんに引き出しに入っている財布とハンドタオルも持ってきて欲しいと頼む。

あの時とは違うということを感じた。子供は気遣うことが出来ない人が多いけれど、大人は違う。
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